一人のフルート職人の情熱から生まれたアルタスフルート。それから20年、いまやアルタスフルートは、プロ、アマを問わず、世界中のフルーティストから厚い信頼を得るフルートメーカーに成長しました。その歩みを紹介したいと思います。
アルタスフルートは、“音楽”を愛する一人のフルート職人の熱い情熱から生まれたフルートメーカーです
アルタスフルートの創業者である田中修一が、長野・安曇野の地にフルート工房を構えたのは1990年(平成2年)のことになります。優れたフルート職人でありながら、自らもフルートを愛する田中にとって、自分の理想とする“音”を奏でるフルートを作ることは、長年温めていた夢でありました。
自分の想いが詰まったフルートを、多くの人に奏でて欲しい。そんな純粋な想いからスタートしたアルタスフルートですが、それから約20年近く過ぎた今では、日本のみならず世界中のフルーティストから愛されるフルートメーカーに成長を遂げました。一人のフルート職人の情熱が注ぎこまれたフルートを、ぜひ試していただければ嬉しく思います。

ウィリアム・ベネット氏との協力により、奏者が“音楽”を奏でる時に頼りになる道具、工具としてのフルートが誕生した
フルートは昔から職人たちの絶え間ぬ研究や研鑽の積み重ねにより、進化し続けている楽器です。若き日の田中も、そんな先人たちと同じように、楽器の可能性を模索するフルート職人でした。
田中が自らのフルートを作る上で、まずこだわったのは歌口とスケールの部分です。当時のスケールに飽き足らなく感じていた田中は、試行錯誤を繰り返しました。それには、まず音楽の基本を理解し、フルート奏者がどんなテクニックで道具としてのフルートを使いこなしているのかを研究する必要が有りました。それは非常に困難な道で幾度も壁にぶち当たったといいます。そんな時に様々なアドバイスを授け、田中が求めるスケールの開発を手助けしてくれたのが、現代フルート界を代表するフルーティストであるウィリアム・ベネット(William Bennett)氏です。
ロンドン交響楽団を始めとしたオーケストラで首席奏者を務め、ソリストとしても活躍し、また多くの才能溢れるフルーティストを育ていることでも知られるベネット氏は、自らが優れた奏者であることに留まらず、1960年代に現在のフルートの標準とも言うべき「ベネット・クーパー・スケール」を開発したことでも知られる楽器研究家としても著名な人物です。
そんなベネット氏との関係は、田中のハンドメイドフルートの歌口にベネット氏が興味を持ち、いくつかの質問をしたことが始まりです。当時、田中は台湾に在住していましたが、ベネット氏のコメントを耳にして、すぐにイギリスのベネット氏の自宅を尋ねました。ベネット氏は快く田中を迎え入れてくれて、それから田中は1ヶ月ほどイギリスに滞在し、ともに歌口について様々な検討、試作をしたそうです。その縁がきっかけとなり、二人の理想的な楽器作りへの交流が始まります。その後、多くの試作テストを繰り返し現在の「アルタス スケール」が完成されたのです。

多くのプロフェッショナルから賞賛されるアルタス スケール
田中とベネット氏の長年の研究の末、理論的に導くことができたバランスの良いスケールは、奏者の要求に的確に応え、あらゆる状況でも望みどおりの“働き”してくれます。統一された音色の中で、確かな音程が得られるアルタスのフルートが、プロの道具としての高い評価を受ける大きな理由です。

素材と工法のこだわりも、アルタスが大事にしている部分です
アルタスのフルートはいくつもの素材や加工の方法を使い分けることで、それによって生み出される様々な“音色”を選ぶことができます。
アルタスフルートでは様々な素材で構成されるフルートを選ぶことができます。最もポピュラーなシルバーフルートでも、銀の含有量が92.5%のスターリングシルバー(Ag925)、銀の含有量が95.8%のブリタニアシルバー(Ag958)、銀の含有量が99.7%のメタライズドシルバー、そしてアルタス独自のレシピで構成されるアルタスシルバー(Ag946)の4つを選ぶことができます。素材に含まれる銀の量の違いは比重が異なることを意味します。当然、素材が持つ硬度や密度も異なりますので、その素材にあった製法でフルートを作ることになります。それが“音”の変化につながるわけです。素材は白銅や銀以外にも金やプラチナなどの貴金属を選ぶことも可能です。
またモデルALとA1607では1枚の銀板を巻いてパイプを作る「巻き管」という工法で管体を製作しています。継ぎ目の無い通常のパイプに比べると、手間や技術が必要になりますが、通常製法の管体に比べると異なった倍音をもたらすことで、独自の音色を生み出す源になります。
ちなみにアルタスフルートの代表製品でもあるモデルALは、オールドフレンチフルートの名品「ルイ・ロット」(Luis Lot)をリスペクトして作られたフルートです。このALを製作するにあたって田中は、現存する何本ものルイ・ロットのフルートをバラバラに分解、切断し、最終的には溶かしてその構造と素材の成分を調べ、徹底的に研究しました。そこで得られたデータを基に作られたのがモデルALです。古き良き時代の「巻き管」製法と、23種類の素材で構成されるアルタスシルバーで作られるモデルALは、世界中に多くのファンから絶賛されているアルタスフルートの自信作です。

職人の想いが伝わる“ハンドメイド”にこだわります
長野県安曇野にあるアルタスフルートの工房では、多くの職人がフルートを製作しています。創業以来、アルタスがこだわり続けているのは職人の想いがこもった暖かみのあるフルートを作ること。それはスタンダードシリーズでもハンドメイドシリーズでも変わらないことです。
アルタスのフルートには、製作工程においても独自の工夫が施されています。
その一つがキイメカニズムの工夫です。消耗の激しいキイメカニズムの接触部分には、特殊加工を加えた砲弾型と円錐型を組み合わせることで、タイトな組み立てを保ちながら滑らかな動きをみせるキイアクションを実現しています。複雑な機構ゆえに製作工程においても調整に熟練を要するのですが、アルタスでは全モデルにこの形状を採用しています。
またフルートにとって管体は“音”を生み出す大事なパーツです。フルートが生み出す音の響きは、トーンホールの数と管体に座金を半田付けした面積に比例して変化すると言われていますが、アルタスでは幅広でしっかりとトーンホールをホールドする座金を全モデルに採用しています。これにより管体自身の特性を引き出し、より遠鳴りする深い響きの音を生み出しています。
アルタスのフルートにはそれ以外の箇所にも職人の手が入っています。ハンドメイドモデルはもちろん、スタンダードモデルのようなハンドメイド仕様のフルートであっても、音に重大な影響を与える部分や最終調整は、経験豊富な職人が手作業で担当しています。
吹き終わった時に奏者が満足している笑顔が見たい。アルタスが1本1本のフルートに託している願いでもあるのです。

これまでの20年を振り返ってみて…。そしてさらなる飛躍を目指します
世界的に見ても、日本は質の高いフルートメーカーが集まる一大拠点です。その激しい競争の中においてもアルタスフルートは、この20年で大きく成長を遂げてきました。その原動力となったのは創業者である田中修一のフルート作りにかける熱い情熱であったことは言うまでもないことですが、その田中に師事した多くのフルート職人の新たなフルートを作りたいという想いが大きかったことも間違いありません。フルートは時代とともに進化を続ける楽器です。長い歴史から見ればこれからも新たな“音”の世界が広がることでしょう。奏者の想いをカタチにし続けることで、その一翼をアルタスフルートは担っていきたいと考えています。


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